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井手口 武史 Takeshi IDEGUCHI
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一方で、『イノベーションのジレンマ』では、破壊的イノベーションへの対抗策も示されている。もっともそれほど簡単な対抗策があるわけではないが、1つの有効手段は破壊的製品が育つ前につぶしてしまうことである。


具体的に言えば、カーナビがNAVITIMEよりも十分性能が良いうちに、カーナビの価格をNAVITIMEと同等以下にしてしまえばよいのである。


実は国内カーナビ市場には、これと同じ効果を持つ別の黒船が出現しており、それがまた別の意味で、カーナビ各社の脅威となっている。その黒船とは、米国カーナビ市場のトップブランドであるGARMINの日本上陸である。


GARMINの日本版カーナビは、当初コストコや一部の家電量販店で売られ始めていたが、最新モデルの「nuvi2465」の場合、ビックカメラをはじめ、普通に量販店で手に入るようになってきた。価格はカカクコムの最安値で1万4000円台。国産のカーナビに比べれば格段に安く、奇しくもNAVITIMEの5年分の利用料と同レベルの金額だ。


私は国内ではトヨタ純正カーナビのユーザーなのだが、米国出張時はGARMINのユーザーである。米国版の商品をベースに使用感をレポートさせていただく。


米国版のGARMIN製品は、通常の量販店で普通に手に入る。私が購入した「nuvi1390」はウォルマートで129ドル(9900円程度)であり、これが米国でのカーナビの価格相場である。


日本製のカーナビも配線不要の商品が主流になってきたが、GARMINの場合も、購入して箱から出しシガーソケットから電源を取ってダッシュボードに置けば、その場ですぐに使えてしまう。


もっときちんと使おうとしたら、吸盤を使って車の前面のどこかに固定すればいいのだが、私の場合、米国出張時はレンタカーで使うので、いちいち固定はせず、車の脇に置きっぱなしにした状態で使っている。  


これでとにかく電源さえ入れてしまえば、数秒で起動して現在地を把握してくれる。そして、行先の住所を入力すれば、最適ルートを検索し、行先を地図と音声で教えてくれるのだ。レーンのどちら側を走行すれば良いかとか、左折・右折のタイミングとか、日本のカーナビとまったく変わらない高性能である。しかも、日本製とは違って、地図は毎年1回、無料で最新のものをダウンロードしてくれる。要するに、米国市場の場合、高性能のカーナビが、最初から1万円程度で市場に存在しているのである。


日本のカーナビ各社は今、目の前にある破壊的イノベーションの危機から逃れることができるのだろうか。